Physics & Philosophies

理系大学生の頭の中

理科系の「引用技術」

木下是雄著「理科系の作文技術」(中公新書)を買ってきた。事ある毎に引き合いに出されていた本なので、いつか読んでみようと思っていたのだが、ようやく購入。

 

題名の通り、理科系のレポートや論文などに使えそうな作文技術が載っている。全体の構成といった話はもちろん、単位や量記号の書き方のルールといった細かい話も議論されている。

 

その中に「文献引用」という節がある(9.4節)。科学系の文章を書く以上、先行研究や他の論文から引用したり、それらを参考にして議論を進めることは免れない。もちろん、その出典を明らかにすることも大事なのだが、そのルールが複雑でいまいちわかりにくい。木下氏は次のような例をあげている。

 

1) 高崎 宏:応用物理29(1960) 1054.

2) V. Vand, J. Phys. Colloid Chem., 52, 277 (1948).

3) Lewis, R. and Gomer, R. 1969 Surface Sci. 17, 333.

(木下是雄『理科系の作文技術』中公新書 p.164)

 

(なぜかここではうまく表示されないが、実際には)巻を太字にしたり、雑誌名を斜体にしたり、ややこしい。さらに、「物理、化学の雑誌では、原則として論文題名と〈おわりのページ〉を省く」(木下)そうだが、例えばGoogle Scholarで検索した論文をCiteすると

 

MLA: Watson, James D., and Francis HC Crick. "Molecular structure of nucleic acids." Nature 171.4356 (1953): 737-738.

APA: Watson, J. D., & Crick, F. H. (1953). Molecular structure of nucleic acids. Nature, 171(4356), 737-738.

Chicago: Watson, James D., and Francis HC Crick. "Molecular structure of nucleic acids." Nature 171, no. 4356 (1953): 737-738.

 

と出る。論文題名も書いてあるし、雑誌名も略されていない。

 

各学会毎に規定とか流儀があって、必ずしもこうでなければならないというものではないのだろうが、細かいことが気になる性分なのでレポートの参考文献の項目に細々と気を遣ってしまう。一度スタイルを会得してしまえばそんなに悩むことではないのかもしれないが。