Physics & Philosophies

理系大学生の頭の中

科学を語ること

ずっと物理学を勉強してきて、ものの見方が広がったと感じる。光を見ても、水を見ても、金属を見ても、熱いものや冷たいものに触れても、いろんな音を聞いても、「どうしてそのような現象が起こるのか」について説明してくれる物理的な背景が、ところどころで見えてくるようになってきた。それは、今まで身の回りにあふれていたものたちの秘密が解き明かされたようで、楽しい。今まで身の回りにあふれていたものたちが、違った表情をして見えてくる。

 

ところが、この楽しさを他人に伝えるのはかなり難しい。特に、科学はムズカシイと思っている人に対して伝えるには、いかに科学の醍醐味をわかりやすく伝えるかが重要になる。この「わかりやすく」というところがミソであり、生半可な知識では到達しえない。物理の面白さをわかりやすく、それこそ小学生でもわかるように伝えるには、ものの本質を捉えてはじめてできるのだろう。

 

科学の面白さを語る時、やたらと専門用語を並べ立てるのは賢いものの言い方とは思えない。電子を知らない人に、いかに量子力学の面白さを伝えるか。古典力学を知らない人に、いかに相対論の面白さを伝えるか。「わかりやすさ」には、話し手の知性が表れるのだろう。